もともとは、 「摘んだ花をできるだけ鮮やかなまま乾燥したい」 というところから始まった。
急速乾燥や吸湿について調べるうち、 乾燥素材としての和紙に興味が向く。
そこから:
- 手漉き和紙
- 鉱物封入
- 光透過
- 白い陰影
へ関心が広がっていった。
さらに紙の内部へ植物構造を封入したくなり、 葉脈標本へ派生。
つまり:
花の乾燥 → 和紙 → 植物構造そのもの → 葉脈
という流れ。
葉脈と羽
鳥の羽の構造が昔から好きだった。
アヒルを飼っていた頃、 風切羽や羽毛をよく観察していた。
羽は:
- 中空
- 分岐
- 軽量
- 流体制御
- 光沢
- 方向性
など、単なる「ふわふわ」ではない異様な構造体。
葉脈も似ている。
葉肉を除去していくと、 構造だけが露出して、 羽のような「軽い骨格」に見えてくる。
さらに葉脈には:
- フラクタル
- フィボナッチ的分岐
- 流路最適化
のような感覚が強い。
なぜ自然構造に惹かれるのか
人間の最適化は、 「まあ人それぞれ」で終わることが多い。
しかし自然構造は違う。
ヘデラと紫陽花では、 主管根本の錯綜の仕方が違う。
それは単なる見た目ではなく:
- 水輸送
- 強度
- 成長速度
- 葉形
- 光取得
- 破損耐性
などの優先順位が異なる結果。
しかも誰かが設計したわけではなく、 長い年月の淘汰と試行錯誤の結果として残っている。
つまり:
「残っていること自体が論拠」
になっている。
コールダックの風切羽
コールダックは水禽で、 ろくに飛べない。
それでも風切羽が退化せず残っている。
飛行だけが目的なら不要なはずなのに、 別の意味や機能や名残が残っている。
自然の最適化は、 単一目的ではなく、 多条件・多時間軸の最適化。
だから高尚に思える。
自然崇拝と言われてもよいくらい、 そこに敬意を感じる。
葉脈標本の実験
現在試していること:
- 炭酸ナトリウムによる葉肉分解
- 高温維持による穏やかな化学反応
- 物理除去より化学反応優先
- 再現性重視
葉:
- 紫陽花
- ヘデラ
- 南天
- 謎低木
方向性としては:
「葉脈セルロースが死ぬ前に葉肉を降伏させる」
という感覚。
和紙への派生
手漉き紙にも興味が派生。
特に興味があるのは:
- 白
- 光透過
- 半透明
- 鉱物粒
- 圧痕
- 耳
- 凹凸
など。
陶芸材料:
- 蛙目粘土
- アルミナ
- ネフェリン
- 珪石
- 長石
などを局所的に封入して、 「光の地層」のような紙を作れないか考えている。
目指しているもの
色を強く主張するというより:
- 白の陰影
- 光でだけ見える構造
- 透かした時だけ浮かぶ葉脈
- 圧痕による影
- 素材内部の情報
を扱いたい。
byMIGIWAの「光と影を楽しむ器」と、 根本はかなり同じ。
紙でも、 結局やっていることは:
「構造による光の制御」
なのかもしれない。