概要
深藍の結晶釉によって「宇宙のような深度」を持つ内面と、
無釉半艶の静かな外面を対比させた平盆花器の構想。
花を主役としながら、
水のみでも成立し、
何も入れなくても空間を変える存在を目指す。
藍染作家である伴侶の「空の藍」に対し、
本作は「大地・深淵・宇宙の藍」として対をなす。
目指す体験
第一印象:
「なんだこの宇宙」
近づくと:
結晶の存在に気づく
しかし:
器は主役にならない
役割の定義
- 水を入れれば水が主役
- 花を生ければ花が主役
- 器はそれらを容れる場
花器としての思想:
「ただそこに在る」
内側(宇宙)
表現目標
- 透明感のある黒に近い深藍
- 強い光沢(鏡面寄り)
- 大きく柔らかな結晶+微小な点状結晶
- 結晶は白く目立たず、縁が暗い青として現れる
- 光で青が浮かび上がる
- 厚みにより色深度が変化
- 水を入れると無限の奥行きが生じる
視覚的性質
- ほぼ黒に見える
- 斜光で青が出る
- 表面は完全に平滑に見える
- 模様ではなく密度としての空間
結晶核の扱い
- 基本は平滑
- 必要に応じて視覚に出ない人工核を仕込む
- 結晶は主張しない存在として扱う
外側(現実)
表現目標
- 無釉
- 軽く磨いた半艶
- 土の質感を残す
- 光を受け止める表面
- 触れたくなる手触り
意味
- 物質側の世界
- 地上
- 大地
- 現実
- 触覚の領域
内外の対比
| 外側 | 内側 |
|---|---|
| 無釉半艶 | 高光沢釉 |
| 触覚 | 視覚 |
| 現実 | 非現実 |
| 大地 | 宇宙 |
| 静かな光 | 深い闇 |
| 有限 | 無限 |
形状との関係
平盆形状は:
- 水盤として成立する
- 花を「立てる」のではなく「置く」
- 覗き込む構造
- 水面が第二の光学層になる
水との相互作用
水なし:
固体の宇宙
水あり:
無限の宇宙
反射が内部へ吸収されるため、
境界が曖昧になり浮遊感が生じる。
花との関係
透明深藍は:
- 花の色を歪めない
- 白を神秘的に浮かせる
- 赤を引き締める
- 緑を深くする
- 下から余計な反射光を与えない
制作アプローチ
再現性の重視
- 結晶釉でありながら条件を数値化
- 単色一層
- エアブラシ(コンプレッサ)吹き
- 釉厚を重量などで管理
- 流度・ボーメを併用して記録
目標:
「実はこのレシピでできる」
結晶の位置づけ
装飾ではなく:
空間の歪み
密度の差
深度の証拠
二人展における対
伴侶の藍染:
- 冬の晴れた空
- 拡散する光
- 柔らかい藍
- 有機的
- 空気
本作:
- 大地・背景
- 深海・宇宙
- 光を吸う藍
- 鉱物的
- 無機的
共通点:
精神性としての藍
器の存在論
主張しないが、消えない。
「場」そのものになる器
今後の検討事項
- 分割鋳込み型の成立性
- 磁器泥漿の選択と焼成条件
- 結晶釉のベース開発
- 内面平滑度の最適点
- 外面仕上げの最終調整
- エッジ処理(全体文脈に従う)
キーワード
- 深藍
- 静謐
- 深海
- 無風の湖面
- 夜の森
- 空間
- 背景
- 容れるもの
- 精神性
- 空と大地の対話
作家メモ
ロックカップにおける
「光と影を楽しむ器」の思想の延長線上にある。
ただし今回は:
光ではなく深度